TEAM
ピザカンバンゲーム
このゲームは、新規または既存チームがリーン&アジャイルの原則を理解するために実施します。
言葉だけでは伝わりづらいカンバンのコンセプトを短時間で楽しく体験できます。
このゲームを通して、既存プロセスからカンバンシステムに移行する方法や、システムを視覚化する方法、修正の方法を学ぶことができます。
また、プロセス全体の問題点や利益、フラストレーションや楽しさをチームで体験した結果、現場に戻って改善点を考え、共有できるようになります。ぜひ、優れたピザ職人を目指しましょう!
- 所要時間
60〜120分
- 参加人数
10〜40名以上
- 提供レベル
中
- 心理的安全性
セーフゾーン
- 用意するもの
スコアボード用のフリップチャート 各チームごとの材料:付箋(ピンク2束、黄色2束)、黄色の厚紙(1束)、 赤いマーカー(2本)、スティックのり(2本)、マスキングテープ(1個)、はさみ(2本)、紙皿(1枚)、白いA4の紙(1枚)*オンラインで実施する場合はオンラインホワイトボードMiroを使用することもできます。
進め方
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Step 1
- 学びの目的
- カンバンのコンセプトを実際に体験しながら学んでいきます。仕組みを学術的に学ぶのではなく、ゲームをすることで理解を深め、「Learning by doing(実践による学習)」を体験しましょう。 カンバンは、プロセスや製品、使う人に合わせて適応し機能する、柔軟なシステムであることが理解できるようになります。最初から完璧なボードというものは存在しません。 進行中の作業(WIP: Work in Progress)がどのような影響を受けて、制限されるのかを理解できます。また、管理と適応、セルフリーダーシップを体験できます。 ピザ作りを楽しんでください!
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材料の詳細・準備(1チームごとに必要です)
- ピンクのポストイット:2束(ハム用)
- 黄色のポストイット:2束(パイナップル用)
- 黄色の厚紙:1束(ピザ生地用)
- 赤いマーカー:2本 (トマトソース用)
- スティックのり:2本(切ったポストイットを貼り付ける用)
- マスキングテープ:1個
- ハサミ:2本
- 紙皿:1枚(オーブン用)
- 白いA4の紙:1枚(ピザ屋の名前表示用)
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Step 2
- チーム分け/ピザ屋の名前決め
- 4~6人のチームを作り、各テーブルに上記の材料があることを確認します。
各チームにピザ屋の名前を決めてもらい、紙に書いた店名をテーブルに貼ってもらいます。
例:ピザファット
提供のヒント:
ファシリテーターは各チーム名をスコアボードに書き出し、健全な競争意識を高めてください
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Step 3
- 自然発生的なプロセスと共同作業
- ゲームを開始する前に見本となるハムとパイナップルのピザを作成します。作成すべき基準となるピザがどのようなものかを参加者へ見せましょう。
材料について説明します。
ピザ生地 (三角形の紙) 、トマトソース (赤いマーカー) 、 スライスしたハム3 枚 (ピンクの付箋 、スライスしたパイナップル3枚 (黄色の付箋)
クラスト(耳)を残し赤いマーカーでピザ生地を塗りつぶすことでトマトソースを表現します。トッピングは付箋を丁寧にカットし、ピザ全体に均等に貼り付けます。
紙皿はオーブンです。1度に最大3枚のピザをオーブンに入れることができます。調理時間は30秒です。ピザを焼き始めたら30秒経過するまで追加したり取り出すことはできません。
参加者へ理解できたかどうか確認しましょう。
「スタート!」の合図で開始します。
制限時間は8分ですが、参加者へ伝えてはいけません。残り時間を伝えてもいけません。速いテンポの音楽を流したり歩き回るなどして、さりげなく参加者を焦らせましょう。
制限時間になったら「ストップ!」と言いましょう。
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Step 4
- 品質チェックと採点
- 終わったらチームは作業を止めて、自分たちのピザをチェックしてもらいます。次に、採点方法を発表します。
- 完璧に焼きあがったピザはプラス10点
- ピザ生地のみはマイナス4点
- ピザやハムの切れ端はマイナス1点
- ピザ生地が大きすぎた場合「こんなに原料を使ってたら採算取れないよ!」
- トッピングが多かったり少ない場合「品質安定しなかったらお店続かないよ!」
- トマトソースがしっかり塗られていなかった場合「お客さんから苦情が来ますよ!」
- ヒント:
軽いノリでやりましょう。
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Step 5
- カンバンの紹介(カンバンの役割の詳細はStep 8を参照してください)
- 最初のラウンドが終了したら、カンバンの役割を紹介します。
- ワークフローの可視化
- WIP(Work in Progress:進行中の作業)の管理
- 流れを管理する
- フィードバックループの導入
- プロセスとポリシーを明確に
- 協力的かつ実験的に改善する
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- 看板の原則について話し合いましょう。
参加者へ尋ねましょう。
- 仕事でカンバンを使用している場合、どのように役立てていますか?
- 今後、カンバンを仕事に活用することについて考えてみてください
- 看板の原則について話し合いましょう。
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Step 6
- 第2ラウンド
- 第1ラウンドで残った材料を整理します。すでに切ってある材料は再利用し、これから切るものは補充します。
参加者は第1ラウンドと同じことをしますが、今回は制限時間が8分であることを伝えましょう。
開始する前に、カンバンの原則に則り計画を立てる時間を5分間とります。
落ち着いた音楽を流しながら実施しましょう。
制限時間残り1分になったらチームへ伝え、8分経ったら、手を止めて採点するように伝えます。
1回目よりも大きな改善が見られるはずです。
勝利したチームや最も改善したチームに賞品を与えましょう。
例:お菓子やピザなど
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Step 7
- リフレクション
- チーム内での振り返りを5分間行った後、10分で全体へ共有しましょう。(チームやグループの人数によっては長くなることもあります。)
- リフレクションのヒント
- 第1ラウンドと比べて第2ラウンドではどのような行動の違いがありましたか?
- 第1ラウンドと比べて第2ラウンドはどう感じましたか?
- チームとして何を学びましたか?
- リーダーはいましたか?
- 他にはどのようなことが起きましたか?
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Step 8
- カンバンの役割
- ワークフローの視覚化
- 実際にピザを作ることによりワークフローが見えてきます。また、ワークフローを可視化することで、現在のプロセスをモデル化し、振り返ることができます。 統計学の第一人者であるGeorge E.P. Boxは、”All models are wrong; but some are useful” (すべてのモデルが正しいとは言えませんが、役に立つものもあります)と言っています 。これは、モデルとはワークフローが単純化されたものであり、現実と完全に一致することはないけれども、作業を見直し、理解することができるということを指しています。 ワークフローは複数の方法で表現できることに留意してください。 ピザをオーブンに入れる際、トッピングがあったりなかったりする理由について、タグ、スイムレーン、非線形ワークフロー、有向ネットワーク、頻度など、その他多くの視点から説明することができます。 ゲームを進めていく中で、各チームごとの人やリソース、ボトルネックなど、状況に合わせたワークフローを作成しました。他チームを真似たりやり方を取り入れることも出来ますが、特定のやり方が正しいということはありません。
- WIPの管理
- このゲームは意図的に、作業が滞るように設計されています。 ゲーム中、チームはWIP(Work in Progress:進行中の作業)を管理して、適切な生産を目指し、未使用の材料による減点を避けるようにしました。このことから、WIPの管理は単なる行動の制限ではなく、工夫を促し、変化させるものであることを体験しました。 人は作業全体についてより多くのコミュニケーションをとり、必要に応じて互いに助け合う傾向があります。
- フローの管理
- カンバンが最も効果を発揮するのは、仕事の流れがうまく機能している時です。 通常、リードタイムを測定し最小化することで流れを良くしますが、このゲームでは時間の都合上、余った材料にペナルティを課してフローを最適化するような行動を引き起こすように設計しています。 第1ラウンドでは、事前に少量の材料を準備する傾向があります。 第2ラウンドでは、WIPの管理を厳しくすることで在庫を抑え、フローを維持することを学びます。 ピザゲームでフローを分析することは非常に有益ですが、これを行うには共同ファシリテーターが必要になります。
- プロセスとポリシーを明確に
- 第1ラウンド後、各チームで自分たちのワークフローを確認し、変更があった場合はすぐに適応しました。また、手本となるピザを選び、共通の品質基準を設定しました。 これは作業にどう役立ちましたか?役割についてはどうですか?チームメンバーは明確な役割を持っていましたか?どのように役割を果たしましたか?今回は、誰が「リソース」を割り当てましたか?
- フィードバックループの導入
- 私たちは何についてフィードバックを集めましたか?ゲーム中でどんなフィードバックがあったかをチームに少し考えてもらい、付箋に書き込んでもらいます。付箋を集めてもいいですし、例を挙げてもらってもいいでしょう。共有時は、フィードバックがなかったらどうなっていたかを聞いてみましょう。
- 協力的かつ実験的に改善する
- ゲームはいくつかのラウンドで構成され、その間に振り返りと改善の時間がありました。 その時間がなければ何が起こっていたでしょうか?誰が振り返りと改善を行いましたか?それはどのような情報に基づいていましたか? ピザの制作中、チームは何について話しましたか?
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Step 9
- アジャイル42からのヒントとFAQ
- ピザカンバンゲームは、学習体験であり、教育ツールです。
- アジャイル42を参照してください(https://daipresents.com/2014/kanban-pizza-game-ja/) ピザカンバンゲームの本質はピザを作ることではなく、カンバンについて学ぶことです。このゲームを単なる遊びや、競争にしてはいけません。あなたの意図した方法で、学習目的に焦点を当てたゲームを心がけてください。
- 大きな時計を用意して、制限時間を6分で実施してもいいですか?
- チームが残り時間を知っていると、無駄を最小限にするために前もってプロセスを縮小し始めます。無駄を省くのはいいことですが、それは作業中にやってもらうほうがいいでしょう。実際には、5〜7分の間であれば問題ないようです。
- オーブンを追加したいと言われましたが、応じてよいでしょうか?
- 追加してはいけません。リソースを追加し、チームのボトルネックを魔法のように「解決」してしまうと、自分たちでボトルネックを特定し、対処することを学べません。もしも応じてしまったら、不平を言うだけで問題が解決できてしまうという間違った認識を与えることになります。
- 最悪のボトルネックを取り除くたびに、別のボトルネックが出てくることも覚えておいてください。
- (詳細はTheory of Constraints(https://en.wikipedia.org/wiki/Theory_of_constraints)を参照してください)
システムがリセットされ、新しいボトルネックが出現するまでには少し時間がかかります。4ラウンドのゲームでは、このような変更を1〜2回以上行う時間はありません。 - ゲームの進行が遅すぎます。もっと加速させたいのですが。
- チームごとに状況は違うので、必ずしもプレッシャーを与えることが良いとは言えません。ゲームの展開に任せて、固定されたシナリオを押し付けないようにしましょう。何が起きているかを観察し、良い行動は優しく強化し、望ましくない行動を抑制してください。もしチームがベストを尽くしていないと感じたら、チーム間の競争を少し高めてみましょう。また、チームに時間測定と改善を求めることもできます。
- 雑な作業でピザを作っているチームがあります。どのようにアプローチすればいいでしょうか?
- 目に見える形で指摘しましょう。すべてのチームに品質の違いを指摘し、品質レベルの合意をとります。例えば、共同の品質管理者を指名してピザを検品したり、完成の定義を決めたり、見本となるピザを作成したりしましょう。
- ハムを手で裂いて「手作りピザ職人」と呼んでいるチームがいます、どうすればいいですか?
- そのチームはハサミがボトルネックになっていることに気がつき、手で裂いたのでしょう。理由を聞いても「これは手作りのピザで工場でカットされたものより良い」と言うでしょう。 普通のハム(ピンクの付箋)を原材料として使っているため、手作りのこだわりハムが食べられると思っていたのに食べられなかったと、お客さんに怒られるかもしれません。もし納得してもらえなければ、見本のピザを見せて、「醜いピザは受け付けません」と言ってみましょう。
- バリエーションを増やしたりゲームを拡張してもいいですか?
- ゲームを強化するような良い拡張機能を開発した場合は、ぜひ私たちに知らせてください。将来的にゲームをバージョンアップさせる可能性があります。 ただし、うまく機能しない例を見たり聞いたりしたことがあるので、以下に紹介します。
- 新しいピザのレシピ(トリプルチーズ等)
- ピザ配達(注文を受けてピザを配達する専門の人)
- 品質にこだわる顧客(ピザには非常にうるさい人)
- 保健所の職員(「なぜハムを手で裂いているのか? 」)
- 材料を買い、ピザを売るお金のシステム
*Hyper Island the Agile 42, Kanban Pizza Game(https://www.agile42.com/en/training/kanban-pizza-game/) Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 4.0 International (CC BY-NC-SA 4.0)に基づくMiroverse Template: Kanban Pizza Game 日本語訳:Hyper Island Japan Team